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ゆっくり教 3KB 注意 ※地方によって著しく生態が違うゆっくり(場所によっては何も食わなくても平気で生きられるゆっくりが居る事もある)が居る世界の話です 19××年。 ゆっくりが何処からともなく世界に現れ、人々を困惑させた時期。 「これで金儲けできるんじゃね?」 一人の若者がそう考え、その考えを実行に移した。 『ゆっくりは神の御使いであり、ゆっくりが目で見た物、耳で聞いた事の全てが神に伝わっています』 ゆっくり教なる新興宗教が日本の何処かで出来上がった。 聖書をパク……若者なりの解釈をして、ゆっくりを混ぜ込んだ奇怪極まる宗教。 そのパク……引用して作り上げられた、ゆっくり教の有名な言葉を一つ挙げよう。 『ゆっくりに見せるために、ゆっくりに善行をするよう気をつけなさい。そうでないと、天に居られる我等が神から、報いが受けられません』 ゆっくりをゆっくりさせれば死後に天国に行ける、との因果関係が不可解な教え。 だがこれが流行した?何故か? まだ世間によく知られていない摩訶不思議なゆっくりの生態に加え、日本に終末論が流行っていた事もあったのか? 熱病に冒されたように、ゆっくり教は信徒を増やした。 …………………… 何処かの街にある一つの建物。 ゆっくり教団が構えている教会の一つである。 外から見える部分は簡素で、中から見える所も簡素、取り柄と言えば大きさだけな建物。 中では一人の男性信者が数匹のゆっくりに供物捧げていた。 「そろそろ時間ですね、ゆっくり様。お受け取りください」 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~」 男性信者のゆっくりに対する供物は、ゆっくり教が教える基本的な善行の一つだ。 供物を与えられ、笑顔で食べるゆっくりと、それを笑顔で見る信者。 そこに…… 「ゆはぁゆはぁ…ここがゆっくりきょうかいだね」 「ゆへぇゆへぇ…ここならゆっくりできそうだよ!」 れいむとまりさが現れた。 ゆっくりにしては辛い長旅だったのだろう。息を荒げて疲労困憊の様子である。 ゆっくり教を聞いてやって来たゆっくりなのだろう。 荒げていた息を落ち着けると、信者の目の前にぽよんぽよん跳ねて来た。 「これはこれは…ゆっくり様、遠くからお出で頂……!?」 にこやかに対応しようとした信者の顔が凍り付いた。 原因はまりさの帽子から現れた子ゆっくり達である。 「れいみゅおにゃかすいちゃよ」「おにいしゃんのおうちにもどらにゃいの?」 「いまからあまあまをもらうからなかないでね」 あまあまをもらうと聞いて、表情を更に険しくする信者。 それに気付かぬ母れいむは、愚図る子ゆっくりに優しく語り掛ける。 父まりさは安心させるように子ゆっくりの顔を舐めようとして――― 「なかないでねおぢ!!!???」 信者に踏まれた。 強烈なストンピングに内容物の半分が噴出。床に盛大に餡子を散らしながら絶命。 突然のあんまりにもあんまりな攻撃に、母れいむが絶叫しようとした所を。 「悪魔め!この世から去れ!」 激した信者の言葉と共に踏まれ、父まりさの後を追う事となった。 「ぴゃぴゅ!?」「れいみゅぴゃ!!?」 最後に何かいえた子ゆっくりも親と一緒に床の餡子になった。 「ゆっくり達を真似た悪魔め!地獄で永劫の苦しみを味わえ!」 床に転がる餡子の残骸に吐き捨てると、信者はモップとバケツを取りに行くためその場を去った。 …………………… 来るゆっくりは全て拒まず受け入れる。 それがゆっくり教会だが、例外もあり…… ゆっくり教では、子を産むゆっくりの存在を認めていない。 ゆっくり教の教えでは、神が遣わしたゆっくり達は単体で完結しており、増える事が無ければ減る事も無い。 それに、人間の行いを見て聞くだけのゆっくりは、人間に向かって何かを要求する事も無いのだ。 それから外れたゆっくり達は、ゆっくり教の中では悪魔として定められている。 「ゆっくりを騙り人間を堕落させる存在」 あのゆっくり親子は、その例外だったのだ。 ―――――――― 信者はゆっくりが売られているペットショップを、世界中に悪魔をばら撒いてる所だと認識。 ペットショップにペンキをぶちまける過激派もいるそうな。 前作 『ふたば系ゆっくりいじめ 84 暇人二人の旅行』 『ふたば系ゆっくりいじめ 79 暇人二人のゆっくりいじめ』 『ふたば系ゆっくりいじめ 64 酷い暇潰し』 【ふたば系ゆっくりいじめ 58 ドスまりさがぶっ殺される話】 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 原始ゆっくりが居るのか!? だったら崇拝者がいるのも分かるなww -- 2018-01-24 14 17 14 なかなかイイ新興宗教だww -- 2014-03-18 18 28 25 こいつら迷惑な集団だな -- 2012-12-12 21 44 55 ある意味すげぇwwwww -- 2011-12-23 10 13 46 すごい世界だな -- 2011-05-28 15 13 59
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ゆっくり真空パック 俺設定 「ゆーっ!ここはゆっくりできないよ!!」 れいむは怒っていた。突然群れにやってきた人間達に捕まり、大きな袋に放り込まれた。 夫のまりさや他のゆっくり達も次々と袋に入れられ、ぎゅうぎゅうに押し込められること約半日。 空腹の限界点も通り過ぎた頃にようやく解放され、袋から出られたと思ったら見たこともない四角い部屋。 そしていきなり頭上から土砂降りの雨が降ってきて、みんなパニックを起こしかけた。 雨はすぐに止んだが、そのあとたくさんやってきた人間達にまた袋に入れられてしまった。 しかも今度はなぜか種族別に分けられたので、大好きなまりさとも離ればなれ。 そして今、透明な小さな袋の中にひとりづつ入れられ、動く細い床の上に乗せられていた。 「おなかへったよ!ひどいにんげんさんはれいむにたべものをもってきてね!」 袋の外では白っぽい服を着た人間達が黙々と歩き回っている。れいむの訴えに耳を貸そうとする者はいない。 「れいむはおこってるんだよ!むししないでね!ぷくー!」 精一杯威嚇してみるが全く効果なし。次々とれいむの目の前を通り過ぎて行く。 「もうやだ!おうちかえる!」 この動く床から脱出しようと、思いっきり跳ねてみた。 「ゆべっ!」 しかし周囲に見えない固い壁のようなものがあって、頭をぶつけてしまった。 それ以前に袋がいやに体にまとわりついてうまく動けないので、逃げ切れるかどうかは疑問だったが。 「ゆううぅぅぅっ!ゆっくりさせてよおおおっ!!」 あまりの仕打ちにとうとう癇癪を起こしてしまった。 その時、突然れいむの体が浮いた。 1人の青年が、れいむを袋ごとつかんで持ち上げていた。 「ゆーっ!おそらをとんでるみたい!」 まもなくれいむは白い台の上に優しく置かれた。動く床から解放されたのだ。 「おにいさんありがとう!あとれいむをふくろからだしてね!ゆっくりさせてね!」 助けてくれた青年に満面の笑みを向けるれいむ。 だが青年は笑うこともなく、黙ってれいむの後方を指さした。 「ゆっ?なに?」 振り返ると、そこには見るからにおいしそうな色とりどりの果物が大量に積まれていた。 「ゆーっ!すごいよ!くだものさんだよ!」 群れの生活では、こんなたくさん食べる機会などなかった。 れいむは口を大きく開き、涎を垂らさんばかりの表情でそれを見つめた。 “早く袋から出してもらって、ゆっくりむーしゃむーしゃするよ!” そう思った瞬間―― れいむの両方の目玉が、ものすごい力で締め付けられた。 目玉だけではない。頭、足、耳、唇。れいむのありとあらゆる部分に尋常ではない力が加わっている。 ――なに、これ、いだい、いだい、ゆっくり、できない―― 力は喉の奥まで押し入り、出かかった悲鳴をたやすく封じ込めた。 ――やべて、つぶれ、ちゃう、ゆ゛あ゛ぁ゛―― とても身動きできないほどの圧力なのに、れいむの体が破裂することはなかった。 圧力はあらゆる方向から均等にかかっているため、変形させることなく、ただただれいむを締め付けるのみ。 ――めが、いだい、あづい、やべて、つぶれる、しんじゃう―― 締め付ける力は、隙間という隙間の奥の奥まで届き、眼球や舌根をこれでもかというくらいに絞り上げる。 視界は様々な色が混じり合ってぼやけ、もう何も見えたものではない。 ――たずげて、おにいさん、だずげで、まりさ、まりざ―― 体の中心から焼けるような熱さが広がっていく。 聞こえる音はぐわんぐわんと響く耳鳴りだけ。 頭の中はぐるぐると回っているような、ぐちゃぐちゃとかき乱されているような。 一瞬のうちに、れいむは地獄に叩き込まれた。 加工所の新商品として、「ゆっくり真空パック」というものが発売された。 “産地直送!生きた新鮮な甘味をご家庭で!”という文句で売り出されたこの商品。 要するに生きたゆっくりをそのまま真空パックし、注文先に配達するという、名前通りの商品である。 前々から真空パックという方法は一部の商品で使われていた。 しかし冷凍や加熱処理で仮死状態にした後にパックしていたので、それなりに手間もコストもかかる。 そこで考案されたのが、“殺菌処理のみした後すぐパックする”という方法だ。 「別にゆっくりなら仮死状態なんかにしなくてもいいよね?」という軽い発想も手伝って生まれたのだが・・・ これがなかなか望外な効果を持っていた。 真空パックで締め付けたまま放置しておくと、甘味が増していくのだ。 成体ゆっくりはゆっくりさせたままだととても不味いので、従来の加工の際はゆっくりさせない配慮が必要だった。 しかし真空パックのおかげで無理に苦痛を与える必要が無くなり、加工所の職員達は(一部を除いて)歓迎の声を上げた。 実用化が決定されてからは、どんどん研究や開発が進んでいった。 無造作にパックしてしまうと唇がつぶれて餡子が漏れだしてしまったり、まぶたが閉じてしまったりする。 いかに効率的に苦痛を与え、きれいにパックするか。 まず薄くて柔らかい、それでいて破れにくいビニールシートが開発された。それを袋状にして中にゆっくりを入れる。 次に、ごちそうを見せることによって目を見開かせ、大口を開けさせるという方法が提案された。 隙を作って背後から空気を吸い出し、眼球や舌をビニールで締め上げる。 これらは全てうまくいき、あっという間に商品化までたどり着いた。 真空パックには、商品を受け取った人が自分好みの糖度になるまで熟成することができる、 後頭部から包丁を突き立てれば、何の抵抗も絶叫もなく物言わぬ饅頭になる・・・といった利点もあった。 斬新な仕組みに、人々は面白がって注文した。 もちろんパックの中のゆっくりは生きている。時間が経てばパニック状態からは抜けだし、思考能力も元に戻る。 もっとも耳はあまり聞こえないし、眼球は固定されているので焦点は一点しか合わないが。締め付けに延々苦しむのだ。 しかしビニールに穴を開けてやれば、たちまち蘇生し喋り出す。 このことから、特殊な理由での注文も相次いだ。 近所に野良ゆっくりがおらず、一度現物を見てみたい、という人。 解放したことに恩を売り、そのままペットにしたい、という人。 人には言えないようなアブノーマルな趣味を持っている、という人。 その他様々な人からの需要を発掘し、大ヒットとなった。 今の加工所では、手間もコストも大幅に削減されるので、通常種の成体の4割をこの方法に回すようになっている。 あまりの売れ行きにライン生産までされるようになった。 引き続き開発も進められている。現在の案件は、解放した瞬間に生クリームをほとんど吐き出してしまうぱちゅりー種について。 “にんっしん”したゆっくりのパックも開発中だ。植物型は特に問題ないが、胎生型は1/2程度の確率で死産になってしまう。 加工所期待の商品「ゆっくり真空パック」は、粛々と生産され続けている。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 虐待短すぎ、説明長すぎですね・・・反省してます・・・ 過去作品 ゆっくりバルーンオブジェ 暗闇の誕生 ゆっくりアスパラかかし このSSに感想をつける
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「冷静な子たちのお部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋に 八意永琳は入っていく ここはゆっくりアリスたちの性欲の減退を試みる施設 野生のゆっくりアリスが飼いゆっくりをレイプする事件が多発する事を受けて 永琳は薬物散布による野良ゆっくりアリスへの性欲減退処置を提案。 それは妖怪からも、人里からも、承認を受け、これはそのための実験である。 妖怪や人間の中にはあんなもの皆殺しにしてしまえば良いと毒薬の散布を支持する者もいたが、 それぞれの代表者によってどうにか説得されたらしい。 それほどに嫌悪感を覚えるのか、永琳は少し期待をしてしまう。 「・・・」 「あら、不愉快?」 「そんな顔してました?」 明らかに嫌悪と分かる表情を鈴仙は指摘され、思わず顔を逸らす。 今まで見ていた方向には三匹のゆっくりアリスによってレイプされるゆっくりまりさの姿があった。 「倫理観なんてどうでもいいわ。ここに入ってくるゆっくりは全員何らかの形で死ぬのよ。あのゆっくりアリスたちが憎くても何かしてやろう何て考えない事ね」 「は、はい」 「じゃ、はじめましょうか」 永琳は三匹のゆっくりアリスからゆっくりまりさを取り上げる。 「ゆ?なにするの?アリスのまりさをかえしてね」 「まだすっきりしたいんだから、なにするの?」 「ゆー!!アリスのまりさかえしてよ!!」 ゆっくりまりさは助かったと思った。このままお姉さんに抱きかかえられ、 元いた場所かもっと良い場所にいけるのだと勝手に思っていた。 しかし、ゆっくりまりさは返してと騒ぎゆっくりアリスの目の前で床に叩きつけられ殺された。 「ゆ!!なにするの?!べつのまりさをよういしてね!!」 「そうよ。アリスはすっきりしたいんだから」 「とかいはのアリスはすっきりしたいのよ!!」 三匹のゆっくりアリス達はそれまで好きだ愛していると言っていたゆっくりまりさに関して何ら触れず、 自分達がすっきりするため、別のゆっくりを要求した。 「この子達、自分が殺されるとは思わないのね」 そう小さな声で、永琳は鈴仙に伝える。 「たぶん、都会派の自分は殺されないとか思ってるんでしょ」 鈴仙はとても不愉快そうに答えた 「あら、ごめんなさい。あなた達のゆっくりまりさ、つい手が滑って落としちゃったわ。代わりを用意するから少し待ってくれるかしら」 「とかいはのアリスをまたせないでよ!」 「アリスはできるおいんなだからストレスがたまるのよ!」 「はやくすっきりさせなさいよ!!」 師匠に対して、ゆっくりは本当に命知らずというか身の程知らずというか 鈴仙は今までの不愉快な思いが消え、今はゆっくりアリスに対する同情の気持ちに変わっている。 「お詫びと言っては何だけど、私の作った栄養剤を飲んでみない?お肌がぷるぷるになって、元気も出るし、よりすっきりできるようになるわ」 「ゆ?とかいはのアリスにぴったりね!!」 「ゆっくりしてないでだしてね!!」 「おねーさん、アリスはとかいはだからおねーさんのことゆるしてあげるね」 永琳は三匹にそれぞれ薬の入った砂糖水を与える。その隙に鈴仙がヘアバンドに甲乙丙と書かれたタグをつける。 それからしばらく二人は部屋の隅でお茶をしながら様子を観察していた。 ゆっくりアリスはせっかく三匹いるというのに三匹で遊んだりせず、用意してあげた巣に引きこもり木や土で何か作って過ごしていた。 「同種間での性行為はしないんですね」 「元々、コミュニケーション能力が低い種だから、一方的な押し付けしかできない。同種だとそれがぶつかり合うから」 「・・・なんだか、自分勝手ですね」 「あら、珍しい。あなたがゆっきりをそんな風に言うなんて。でも、勘違いしちゃいけないわ」 永琳はカフェオレを一口飲むと話を続ける。 「私達から見ればアレは一方的な感情の押し付けしかできない不具合のある種族だけれど、アレらは自分に何ら問題があるとは思ってないのよ」 「それが自分勝手なんですよ」 「常識を考えなさい。アレと私たちの常識は違うのよ。この実験はアレの常識を捻じ曲げる行為。自分勝手なのは私達の方よ」 「・・・」 「それでも私は倫理観なんてどうでもいいのよ」 その後、他のケージと違って静かでいいわねと永琳はつけたし、クッキーに手を伸ばした。 ~甲のゆっくりアリス~ 「あら・・・」 「師匠、この子には何を入れたんですか?」 「甲にはただの性欲減退剤よ・・・。濃度は若干高かったけれど」 ゆっくりアリスは自殺していた。巣にしていた小屋の壁にカスタードクリームがへばりついている事から、 何度も壁に体当たりしたのだろうという事が分かる。 「性欲減退剤って、どういう効果が現れるんですか?」 「今回のは性欲を強く否定するのよ。性欲が高まるとストレスを感じるようにしたものなんだけど」 そんな事を言いながら二人は監視カメラの映像を再生する。 『すっきりしたくなちゃった・・・ゆゆ!!』 「ああ、これよ。身体的な負荷ではなく、精神的な負荷にしたのがこの薬の良い所なんだけど」 『すっきりしたく・・・ううん、とかいはのアリスはすっきししないとストレスが、ゆぅ!!』 すっきりしたいと思う度にゆっくりアリスの体は痙攣する。 「効果がありすぎなんじゃないですか?」 「ゆっくりまりさで実験した時には同じ濃度で痙攣するなんて事はなかったわ」 『すっきりしたいのに、ゆぎぃ!!すっきりしたくない!!』 狂ったように小屋の中を転げまわるゆっくりアリス。 「性欲が強すぎるのかしら、それを押さえつけるために薬の効果が強く出てるのね。ふむ・・・」 『ずっぎりじだい!!ずっぎりじだぐない!!』 ゆっくりアリスが小屋の中を駆け回ると、永琳はぷっと思わず吹き出す。 「こんなに効果があるなら別の用途に使えそうね」 『ゆぎぃ、いやぁ!!なにごれ、ぎもぢわるい!!ずっぎりずっぎり!!』 そう言ってゆくりアリスは壁に何度も衝突する。 何度もカスタードクリームを吐き出し、しばらくすると動かなくなった。 「ああ、残念。一番シンプルで簡単だと思ったのに」 あまり残念そうな感じもなく永琳は監視カメラの映像を止める。 ~乙のゆっくりアリス~ 「あれ、巣にいませんよ」 「うーん、一匹ずつ観測員をつけた方が良かったわね」 永琳は今度は残念そうに言い、監視カメラの映像を再生する。 「この子には何を与えたんですか?」 「少しでもすっきりしたくなると、ある特定の記憶を繰り返し再生する薬」 「ど、どんな記憶ですか?」 「ゆっくりまりさが黒ずんで死ぬ所」 鈴仙は言葉を失う。 「さ、見るわよ」 再生機にゆっくりアリスの姿が映し出される。 『ゆー、すっきりしたい・・・ゆ?』 あたりをゆっくりアリスはキョロキョロ見渡す。 『まりさ?ゆ?・・・いないよね。まりさのことかんがえたらすっきりしたく、なちゃ・・・ゆ?』 「あら、あまり効果は無いのかしら?」 「だってほら、ゆっくりアリスって相手が死んでも関係ないって感じですから」 永琳は失敗かしらと呟くが、次第にゆっくりアリスに変化が出てくる。 『まりさ・・・しんじゃった?アリスのまりさが』 「ふむ、いつも発情と同時に性行為を行うから、もしかすると他者の死を見直すのはこれが初めてなのかもしれない」 「意外に繊細なんでしょうか」 「つまり、ゆっくりの死に対する悲しみがあるって事?」 『すっきりしたら・・・まりさが、まりさ!!』 ゆっくりアリスが泣き出す、自分の強姦でゆっくりまりさが死んでしまった事を思い出し。 『・・・ゆ!まりさごめんなざい』『・・・ゆ?!まりざもうゆるじで!!』『・・・ゆひぃ!!まりざ、おねがいもうゆるじでよ!!』 すっきりしたいと思う度に自分が殺したゆっくりまりさの事が思い浮かぶ。 「あー、これは結構・・・いいかも」 『ゆ!!まりさ、こないで。まりざ、ごないで!!』 そう言ってゆっくりアリスは巣を飛び出す。あとはずっと、誰もいなくなった巣が映っているだけだった。 その後でしばらく巣の周辺を探すと池にヘアバンドが浮いていた。そのヘアバンドには乙のタグがついていた。 ~丙のゆっくりアリス~ 「おーい、大丈夫?」 「ゆっくりしていってね」 「あ、師匠、この子はげん・・・あれ?」 ゆっくりアリスは笑顔だった。笑顔なのだが顔を真っ赤にし汗をダラダラかいていた。 「あの師匠、これは?」 「いくら、ゆっくりアリスでも高熱を出していれば強姦はできないと思って試しに作ってみたんだけど」 鈴仙がゆっくりアリスの頬に触れてみる。 「うわ、凄い熱さじゃないですか」 「やめで、おねえざん、ほっぺがいだいよ!!」 「あ、ごめんなさい・・・師匠、熱のせいですか?」 「それはオピオイド拮抗薬よ。痛覚を高めてあるの。これなら強姦もできないでしょ?」 鈴仙はゆっくりアリスに同情した。 「頬に何かが触れれば激痛が走るはずよ。ああ、勿論飛び跳ねる事も無理ね。這いずり回る事なら、できるかしら?」 そう言って、ゆっくりアリスの少し前辺りに飴玉を置く。 「おねーさん、アリスはびょうきなんだよ。こっちまでもってきてね」 「嫌よ。でも、この飴を食べたら楽になるわ。ほら、頑張って食べなさい」 ずりずりと這い蹲ってゆっくりアリスは進む。その度に身体中に激痛が走る。 「あの、師匠。何でこの子、こんなに痛がってるのに笑顔なんですか?」 「例えば、私が何かを食べて凄く苦しそうな顔をしたとするわ。あなた同じものを食べる気になる?」 「いいえ・・・」 「だから、笑顔のまま顔を硬直させてあるのよ。この技術が一番難しかったんだから」 永琳は楽しそうに飴玉をゆっくりアリスから遠ざける。 「どうじでぞんなごどずるの!!」 「叫ぶ事すら苦痛なはずよ。さ、もう少し頑張って」 「ゆぎぃ!!・・・ゆぎぃ!!」 唸り声と叫び声を挙げながらゆっくりアリスは進む。 目は真っ赤になり、涙を浮かべているが、飴玉を一心不乱に見つめている。 ようやく、辿り着き、舌を伸ばす。これで楽になれる。慌てて飴玉を口に運ぶ。 「よくできました」 おめでとー、そう言って永琳は拍手をする。 全身の痛みがなくなっていくのが分かった。熱も下がっていく、 ゆっくりアリスは楽になった。つまり死亡したのだ。 実験の結果を元に人や妖怪の間で話し合いが持たれ丙の薬が採用される事になった。 最後まで他のゆっくりに害がないのか聞いていた人間もどうにか納得してくれ、薬品の入った飴玉の散布が行われた。 3ヶ月もすると、ゆっくりアリスを見かける事はめっきり減り、 人間達が飴玉の散布をやめる頃にはゆっくりアリスは絶滅危惧種に指定されるほど数を減らしていた。 ある日、買い物の帰りに鈴仙はゆっくりアリスを見かける。 酷く衰弱してはいるが、顔立ちの良いゆっくりの中でも美形なゆっくろアリスだった。 そこへゆっくりまりさがやってきて、「アリス、かわいいね。まりさとすっきりしない?」と声をかけた。 ゆっくりアリスは酷く怯え、森の中に逃げ込む。 その表情はとても笑顔で、まるで私を捕まえてと逃げる女の子のようだった。 現にゆっくりまりさは「おいかけっこだね。ゆっくりつかまえるね!!」とゆっくりアリスを追いかけた。 鈴仙は二匹を追いかけてみる。茂みの中でゆっくりアリスはゆっくりまりさに捕まっていた。 頬ずりをされ、ゆっくりまりさはとても気持ち良さそうにしている。 ゆっくりアリスはと言うと涙を流し、やめてと訴えていた。 「ゆ?アリスもうこんなにほおをあつくして」「なくほどうれしいんだね」「アリスはつんでれだね」 勝手な事を言うゆっくりまりさを鈴仙は思いっきり蹴り上げた。 かつて実験室で見た。ゆっくりアリスへの嫌悪感と同じものが胸の中でこみ上げてきた。 ~あとがき~ ゆっくりアリスに腹が立ったんで、 できれば、しばらく殺し続けます。 by118 このSSに感想を付ける
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「「「おはようございます!」」」 「おはよう、しばらくぶりね。みんな」 ざわざわと、決して狭くない部屋中に騒がしい声が満ちる。 夏休み後の寺子屋は、朝から晩まで、色黒になるまで遊び倒した子供達で一杯だ。 そんな様子を微笑ましく眺めるのは、先生である上白沢慧音。 「夏休みはどうだったかな? ……もちろん、宿題はやってきたでしょうね?」 にこやかに告げる慧音に、ビクっと震える子供が1人。どうやら、たっぷり遊び倒したせいでやって来なかったらしい。 慧音は、笑顔のままで固まった子供をちょいちょい、とその細い指を使って招いた。 寺子屋から、ごつんごつんと硬いものがぶつかる音が聞こえると同時に、悲鳴が響き渡った。 『ゆっくり研究してね!』 「……あれだけ時間があったのだから、ちゃんとやって来なきゃダメでしょう?」 慧音は、夏休み明け初日から頭突きをした事に内心ため息をつきながら、なみだ目の子供の頭をなでた。 どこの世界でも宿題をやって来ない子はいるが、寺子屋に限ってはかなり少ない。 それもそのはず、寺子屋の夏休みの宿題は自由研究だけだし、慧音の頭突きが怖くて痛いからだ。 「じゃあ、みんなのやってきた事を見せてもらいます。机の上に出してね」 宿題をやって来なかった子に「反省する事」と言い残して別の子達の方を向いた慧音は、はーいと返事をする子供達を見て笑顔のまま固まった。 「ゆっくりの一日」「水に入れたゆっくりがどれだけ生きているか」「ゆっくりの食べ物」と、研究内容がゆっくりに対してばかりだったからだ。 何やら透明な箱に入れられて、気が触れた様に笑うゆっくりを掲げている子もいる。 ――ゆっくり以外の研究がないじゃないかっ! 慧音は、頭を抱えてしまいそうになる自分を必死になだめながら、震える手を教卓に置いた。 「じゃ……じゃあ、左前から順番に発表してね」 噛みながらも言えた。ちょっと自画自賛しながらも、それは現実逃避だと頭を振り、発表を聞く慧音。 左最前列の子がちょっと恥かしそうに立ち上がり、発表を始める。 「ぼくは、ゆっくりが一日どうやってすごしているかについて調べてみました。その結果が、この紙に書いてあるものです」 ぺらぺらの紙に書かれたものは、円グラフと色とりどりに描かれたゆっくりの一日について。 それによると、ゆっくりは明六つ辺りまでは寝ていて、暮六つ以降に巣に戻るとなっているらしい。 午の九つ辺りには食事を取り、生意気な事におやつの時間まであるらしい。ちなみに、人間と同じく八つに摂っている。 案外詳しく調べられているそれに、先ほどの光景など忘れてしまった様に慧音はうんと一つ頷いた。 「なかなか詳しく調べられていますね。よろしい、合格です」 頭を撫でられた子供は、真っ赤な顔をして嬉しそうに微笑んだ。 「……じゃあ、次の子の発表を聞きます。君は、何について調べたのかな?」 「ゆっくりです!」 ガタンと、古いバラエティ番組っぽい動きで音を立ててこける慧音。 その様子を見て、自分の研究はダメだったのかとなみだ目になる二番目の発表者に向けて、何でもないと手を振って答える。 ――そういえば、全部ゆっくりだったな。気にしすぎない様にしないと。 落ち着けと自分に言い聞かせつつ、慧音は次の子、更に次の子と発表を聞いていく。 皆が特色ある自由研究をしている。だが、内容は全てゆっくり。 流石に食傷気味だったが、数人聞いて他の子は聞かないなど出来ない。慧音は、鉄の自制心で似た様な研究を聞いていった。 「じゃあ、次のゆっくり……じゃない、君は何について調べたの?」 「はい、ぼくはこのゆっくりについて調べました」 誇らしげに言いつつ、子供は透明な箱を掲げた。 中のゆっくりは完全に気が触れているらしく、ただうふうふと笑っている。 慧音は、その光景にちょっと引きつつも、更に問いかけた。 「えーと……そのゆっくりを使って、何を調べたの?」 「ゆっくりの赤ちゃんを目の前で食べたら、何匹目でうふうふ言い出すか調べました。18匹目でした」 目の前で自分の赤ちゃんを食うのはただの自由研究だったと宣言されても、何も反応を見せずにうふうふと笑うゆっくり。 どれほどの惨劇を目の当たりにしたのか、目がにごっており、口の端からはよだれが一筋流れている。 「そ、そう……すごいわね、あなたも合格」 慧音は完全に引いていたが、この子も研究はキチンと出来ている。やった事は認めなくてはならない。 口の端を引きつらせながらも笑顔を浮かべる慧音は、真に先生と褒められるだけの存在だった。 「じゃ、じゃあ……次の子……ふぅ」 ゆっくりの○○、○○をするゆっくりなど、自由研究と言うよりはゆっくり研究とでも言えるそれの時間はまだまだ終りそうにない。 もうお腹一杯の慧音は、流石に息をついてしまった。子供達にため息だと気付かれなかったのが唯一の幸いか。 「……はい、皆色々な研究をしてきましたね。皆合格です」 やって来なかった奴はー? と聞く子に、その子はまた後からやってもらいますと答えて当人の顔を青ざめつつ、ゆっくり研究は終った。 「ここまで見てきた結果を踏まえて、皆に一つ言いたい事があります」 なんだろーと騒ぐ子供達。慧音は手を叩いて静かにさせてから、おもむろに宣言した。 「次回以降、ゆっくり研究は禁止にします。皆、ゆっくりが簡単に手に入るからって研究しすぎです」 えーと騒ぐ子供達。 慧音は、延々と続くゆっくり研究が終ってくれた開放感を噛みしめつつ、今日の授業を開始する。 その心に、帰り道で会ったゆっくりは即叩き潰そうという物騒な誓いを立てていた。 21スレ459の話を聞きつけて、書いてみました。 グダグダだけど書いてて結構面白かった。 by319 このSSに感想を付ける
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何だかんだでゆっくりれいむ一家と漫才をすることになった 「じゃあ赤れいむ、ツッコミの練習をしてみようじゃないか!」 「ゆ!れいみゅがんばりゅよ!!」 「がんばってねちびちゃん!!」 「いもうとのつっこみはすごいよ!おにいさんゆっくりかくごしてね!」 「「「ちてね!!!」」」 「HAHAHA、赤れいむ、今日もまたべりぃぷりちー(笑)じゃないか!」 「ゅゅぅ!てれりゅよおにいちゃん!」 「うんうん、その太陽よりも眩しい笑顔!素敵だなぁ!しかしそれよりもいいのは・・・」 「いいにょは?ゆっくちおちえてにぇ!!」 「君のこの・・・帽子さ」 「にゃんぢぇやにぇん!!」 ぽよん 「ゆ!!とてもいきおいのあるつっこみだね!さすがちびちゃん!!」 「ゆへひぇ☆すーりすーり♪」 「あまーーーーーーーーーーーーーい!!」 「ゅ?なにがあまいの?おかし?ゆっくりおかしちょうだい!!」 「「「「ちょうだいにぇ!!」」」」 「違う、ツッコミだよツッコミ!今のじゃあ観客の皆さんは笑いもしない!お笑いをなめるな!」 「「「「「ゅ・・・」」」」」 「よしっ、じゃあゆっくりお笑いコンテスト地区予選ベスト8のお兄さんが直々に伝授してやろう!」 「ゅ!ゆっくちはやくおしえちぇにぇ!!」 「じゃあ交代だ」 「ゆひゃは、おにいちゃん!きょうみょまちゃべりぃかっちょいいにぇ!!」 「HAHAHA、照れるよ赤れいむ。そんなに言われちゃうと僕もっと輝いちゃう!キランキラン!」 「ゅんゅん、そにょえぎゃお、ゆっくちちてるにぇ!!でもちょれよりもゆっくちちてるにょわ・・・」 「ん~?なんだい?さっさと教えなよ!」 「おにいちゃんの・・・りぼんだょ!!」 「ヒャッハァ!我慢できねぇ!!ツッコミだぁ!!!!」 パシャァアアン 「れ”い”む”の”あ”か”ち”ゃ”ん”か”ぁ”ぁ”あ”あ”!!!!」 「い”も”う”と”か”ぁぁああぁ!!!どおじでごんあごとするのおお”お”お”お”お”!!!」 ドッ(笑) 「おに”い”さ”んと”はゆ”っく”ち”できないよ”!!!お”し”さんた”ち”た”づけ”て”ね”!!!!」 ドドッ(笑) 「れいむ!それおじさんやない!!ぴっちぴちの20歳後半や!!」 ベチャァアアン 「や”め”て”ぇええぇええ!!!れ”い”む”のこ”どもころさ”ないでぇえええぇえ!!!」 「お”ねえ”ち”ゃ”あぁ”あ”あんんん!!!!」 「いい加減にそぉいっ!!!」 ブチャビチャビシャァアアン 「あぁあああぁ”こ”ども”た”ち”があぁあああぁあああああ!!!!!」 ドドドッ(爆笑) 「どうも、ありがとうございましたー」 パチパチパチパチ・・・ パチパチパチパチ・・・ 「なお、この親れいむは後でスタッフが美味しくいただきます」 「どお”し”て”そ”んな”ごと”い”う”の”お”お”お”お”!!!!??」 ワッ(大爆笑) 『以上、ゼッケン七番「ゆっくりとのまんざいとっくん(笑)」でした~』 今回は優勝を狙えそうだ と思ったらゼッケン13番の「ゆ戯王デゆエルもんすたぁず」にあっさり取られた そしてスタッフの人が半ば強制的に親れいむを食べてしまった 今日も夕食は野良ゆっくりです 完 ______________________________________________________ あとがき 急に赤ゆっくり相手にツッコミしたくなって書いた 反省はしていない しかも殆どセリフだけっていうのも難しいし分かりづらいですね 自分お笑いとか漫才とか一切分からないので面白くはないと思う。 ちなみにゆっくりのツッコミ方法は体を捻って体当たりです。 今までに書いたり作ったりしたやつ ゆっくり大福(作った) ゆっくり漫才(書いた・新) ゆっくりとりひき1~2(書いた、続) ゆっくりとりひきのこと完全に忘れてたから今度うpします このSSに感想を付ける
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前 「ゆ~♪ ゆ~♪ かわいい~あかちゃん~♪」 「おかぁしゃんのおうちゃ、しゅごくゆっくちできりゅよ!」 「もっちょ! もっちょうちゃって!」 「今日はこれでおしまいだよ。ゆっくり寝てね!」 「わかっちゃよ!」 「おやちゅみなちゃい!」 産まれて来た赤ちゃん達。 れいむに似たおちびちゃん。 まりさに似たおちびちゃん。 思ってたとおり、すごくゆっくりした良い子達ばかりだよ。 眠ってしまった赤ちゃん達の顔を眺めながら、れいむは幸せに満ちていた。 まりさに捨てられた時は死ぬ事も考えたが、そのたびにお腹の中の赤ちゃんが動いた。 まだ生きたい。 外に出てゆっくりしたい。 お母さんとゆっくりしたい。 まるでそう訴えるように、何度も激しく胎動した。 れいむは結局死ぬことを諦め、赤ちゃんを産む決意を固めた。 この子達を産んで良かった。 死ななくて本当に良かった。 今なら心から、そう思う事が出来る。 赤ちゃんが産まれて、必要な餌の量は格段に増えた。 いつも朝早くに起きて、餌を取りに行かなければならない。 れいむは今、三箇所のゴミ集積所を回っていた。 日の空く事を考えると、一箇所で集まる量だけでは、とても家族全員の食料を賄いきれないのだ。 だが当然、後の方になるほど、他の生物とかち合う危険性が増える。 それでもれいむは、赤ちゃん達の存在を心の支えにして、危険の中を掻い潜っていた。 れいむは生ゴミの無い日に狩りもしていた。 土手を走り回って昆虫を捕まえ、川辺の小石の下からは川虫を捕まえる。 川岸に大きな魚が打ち上げられていた事もあった。 二日分に値する食料。 あれから毎日のように川岸をチェックしている。 だが残念な事に、今のところその姿はない。 れいむは公園にも通っていた。 最初は、まりさがいるかもと思い避けていたのだが、ご飯の事を考えると背に腹は変えられない。 公園の大きな木の下には、食べられる木の実が落ちているのだ。 いつも入り口から覗き込み、まりさがいない事を確認して中に入った。 ハトのおじさんには、よくお世話になった。 その場で食べずに持ち帰っているのだが、おじさんは気にしてはいないようだった。 ただ、最近もう一人の子が一緒じゃないねと言われた時、れいむは何故だかすごく悲しくなった。 今日は赤ちゃん達と、お家の前でゆっくりしよう。 そう考えたれいむは、一回り大きくなった赤ちゃん達を、巣の外へと連れ出した。 初めて見る外の風景に、赤ちゃん達は大はしゃぎ。 目の前に広がる世界を、思う存分跳ね回り堪能する。 ここなら、どれだけ跳ねても頭をぶつける心配はない。 ここなら、狭く低い天井等ありはしないのだから。 「おかぁしゃん! おかぁしゃん! ばったしゃん、ちゅかまえちゃよ!」 「おねぇしゃん、しゅご~い! しゅご~い!」 「まりさは狩りが上手だね。お母さんにも教えてね」 「ばったしゃんは、はにぇるから、とまっちぇるとき、はにぇればいいんりゃよ!」 「れいみゅもやりゅ! れいみゅもやりゅ!」 姉まりさを追いかけて、妹れいむも一緒にバッタを探し始める。 しばらくすると、ちゅかまえちゃたという元気な声が聞こえてきた。 今度は妹れいむが捕まえたようだ。 すぐ後から聞こえてくる、む~ちゃむ~ちゃちあわちぇ~という幸せの声。 そんな妹れいむの様子を見て、姉まりさは負けじとバッタを追い回す。 二人はまるで競うように、バッタを捕まえては口に運んでいった。 もうご飯が取れるなんて、ほかの赤ちゃんにはマネできないね。 きっとれいむの赤ちゃんが、ゆっくり一ゆっくりな赤ちゃんに違いないよ。 せいかくには、ほかの赤ちゃんの三倍はすごいよ。 れいむの餡子の中に広がる親馬鹿全開思考。 そんな幸せなゆっくり的物思いは、突然現れた人間の声によって破られた。 「見て見て! ゆっくりの赤ちゃんだ!」 「なにこれ、マジかわいいんですけど!」 そう口にした人間の行動は素早かった。三倍どころの話じゃなかった。 瞬きする間に、赤ちゃん達は人間の手の上に乗っかっている。 ああ、れいむは何て餡子脳なんだろう。 人間さんがこんなに近くまで来ているのに気づかなかった。 ゆっくりのゆっくりした性格を、今ほど恨んだ事はない。 ゆっくりした結果がこれだよ! 人間さんはやっぱり油断ならないよ! ちがうちがう、そうじゃないよ。今はそんな事考えてる場合じゃないよ。 赤ちゃん達を取り戻さないとね。今すぐにね。 れいむは人間から赤ちゃんを取り戻す決意を固めた。 「お、おお、おねーさん達! ゆっくり赤ちゃんをはなしてね! ゆっくりいそいではなしてね!」 「これって、どうすればいいの? ゆっくりすればいいの?」 「わかんないよね。不思議だよね」 「い、いいい、いいから、れいむに赤ちゃんかえしてね! 赤ちゃんいやがってるよ!」 「えっ? そうでもないよ?」 「むしろ、よろこんでるよ?」 「わぁ~い、おちょらをちょんでりゅみちゃ~い♪」 「ゆ~ん、しゅごきゅちゃかいよ~♪」 「どぼぢでよろごんでるのおおぉおおおお!?」 白目を剥き叫びながらも、れいむはゆっくりと理解していた。 ああ、赤ちゃん達は嬉しいのだ。 自分達の届かない視点から見える世界を、ただ純粋に喜んでるだけなのだ。 きっと自分だって、大はしゃぎしてしまうに違いない。 だってあんなに高い場所にいるのだから。 それがゆっくりの生き様だよね。 そう考えると、何だか赤ちゃん達が羨ましくもある。 思っていたほど悪い人間ではないのかも知れない。 「ゆぅ……おねーさん達は、ゆっくりできる人なの?」 「よくわからないけど、ゆっくりできるよ」 「うん、ゆっくりできるよね。よくわからないけど」 よくわからないのはこっちだよとも思ったが、うかつに喋って人間を怒らせるわけにはいかない。 今のところ、赤ちゃんに害を与える様子はない。 ひょっとすると、本当にゆっくりできる人間なのかも知れない。 せっかくだから、少し赤ちゃんと遊んでもらおうか? 気がすめば帰るだろう。れいむはそう考えた。 「ゆっ! れいむ、ゆっくり理解したよ。いじめないなら、赤ちゃんとゆっくりしてもいいよ!」 「やった~! 私、この赤いリボンの子もらうね」 「じゃあ黒い帽子のまりさは、私が持って帰るね」 「どぼぢでもっでがえるのおおおぉおおおおおおおお!?」 本日二度目の白目を剥き、れいむはただただ絶叫した。 何を言ってるの? 馬鹿なの? この人間達は馬鹿なの? 会話になってないよ。ぜんぜん会話になってないよ。 もうお家に帰って寝ちゃいたいよ。 でも、赤ちゃんは置いてはいけないよ。 れいむ頑張るよ。お母さんだから頑張るよ。 れいむは最後の気力を振り絞り、人間達に訴えかける。 「お、おおお、おねーさん達! 赤ちゃんはれいむの赤ちゃんなんだよ? ゆっくりするなら、れいむの前でゆっくりしてね!」 「えー、でもうちって大きいゆっくりは飼えないし」 「うちはお父さんがれいむアレルギーでちょっと……」 「どぼぢでれ゛いぶまでいぐごどにな゛っでるのおおおおぉおおお!?」 三度目の絶叫で、れいむは自分の中にある餡子を見た気がした。 もうこの人間達と話すのは嫌だよ。 ハトのおじさんはこんなじゃなかったよ。 まりさのとこのお兄さんはこんなじゃなかったよ。 だいたい人間と一緒じゃゆっくり出来ないよ。 しかし、れいむは知っていた。 この世界で本当にゆっくり出来るゆっくり。 それは人間に飼われているゆっくりなのだ。 人間に満ちたこの世界で、他にゆっくりがゆっくり出来る場所などない。 自由はゆっくりをゆっくりさせない。 れいむは赤ちゃん達にゆっくりして欲しかった。 れいむも本当はわかってるんだよ。 人間に可愛がられてるゆっくりは、すごくゆっくり出来るよ。 あんなだったけど、まりさはすごくゆっくり出来てたよ。 公園で見たゆっくりも、みんなすごくゆっくり出来てたよ。 おねーさん達と一緒に行けば、赤ちゃん達もすごくゆっくり出来るのかな? 「あ、あのね? おねーさん達……本当に赤ちゃんを可愛がってくれるの……?」 「うん! ちょうど、ゆっくり飼いたいって話してたから!」 「うちも、まりさなら大丈夫。れいむは無理だけどね」 れいむはこっそりと赤ちゃん達の様子を窺い見る。 はしゃぎ疲れてしまったのだろう。 白目を剥き続けた親の気苦労も知らず、赤ちゃん達は手の平の上でぐっすりと眠っている。 ゆ~ん、赤ちゃん達、すごくゆっくりしてるよ。 まるで、れいむの側でゆっくりしてる時みたいだね。 赤ちゃん達、そこですごくゆっくり出来るんだよね? おねーさん達と一緒なら、すごくゆっくり出来るんだよね? これまでみた人間と飼いゆっくりの姿を、れいむはもう一度強く思い返した。 人間は飼いゆっくりに優しかった。 人間はすごく美味しいご飯を作る事が出来た。 人間は暖かい家に住み、そこはまさにゆっくりプレイスだった。 飼いゆっくりはどれも美しかった。 飼いゆっくりはだれもが健康そのものだった。 飼いゆっくりはどんな時も、幸せに包まれた顔をしていた。 飼いゆっくりじゃない自分の子達が、飼いゆっくりになれるかも知れない。 母親として、これ以上してやれる事はないはずだ。 れいむは餡子を吐く思いで、その言葉を唇で紡いだ。 「おねーさん達……赤ちゃんね……連れてってもいいよ……」 「本当にいいの?」 「お母さんはダメだよ?」 「れいむは一人でもゆっくり出来るよ! だから気にしないでいいよ!」 一緒に行けるものなら、れいむも赤ちゃん達と一緒に行きたかった。 だがれいむは理解している。この女の子達が必要としているのは、れいむの赤ちゃんだけなのだ。 れいむは赤ちゃん達の幸せを、自分の我侭で壊したくなかった。 れいむに似た赤ちゃん、れいむよりずっと可愛くなれるよ。良かったね。 まりさに似た赤ちゃん、まりさみたいに綺麗になってね。でも性格は似ないでね。 れいむは心の中で、赤ちゃん達とのお別れを済ませた。 ぐっすりと眠っているうちに行ってもらいたかった。 目を覚ました赤ちゃん達とお別れするのは辛かった。 「おねーさん達、赤ちゃん達が起きないうちに、ゆっくりしないでおうち帰ってね! 赤ちゃん達とゆっくりしてね!」 「うん、ゆっくりするよー」 「ありがとねー」 「ゆっくりしてね!」 手の平に赤ちゃんを乗せたまま、女の子達が去っていく。 遠ざかる二人の楽しげなお喋りが、れいむのところまで聞こえてくる。 赤ちゃんの声は聞こえてこない。まだ眠っているのだろう。 起きたられいむがいなくて泣いちゃうかな? それともすぐに忘れちゃうのかな? 今更考えても仕方のない事だ。 未練を振り切るかのように、れいむは身体をブルブルと震わせた。 不思議と涙は出てこなかった。 れいむのゆっくりは、もうほとんど残されていない。 赤ちゃん達と一緒に、身体の中から大切な餡子が転がり落ちてしまった。 れいむはたまに、そう感じる事がある。 ぽっかりと空いた空洞を埋めるように、れいむは以前と同じ生活を続けていた。 身体が赤ちゃんのいた頃と同じ生活リズムを求めている。 今日も朝早くに目が覚めた。ご飯を取りに行かなくてはならない。 本当のところ、ご飯なんて充分に残っている。文字通り腐る程ある。 それでも三箇所の餌場を、以前と同じコースで回る。 一つ目の餌場に着いた。 今日はごちそうの日らしい。 まだ半分近く残った人間のお弁当が、無造作に捨てられている。 もう持ち帰る必要は無い。そのまま、もそもそと身体の中に収める。 二つ目の餌場に着いた。 いつもと変わり映えのない風景だ。 近づいてみると、骨だけになった魚が転がっている。 空っぽの眼窩がこちら見ている気がする。これは犬さんにでもあげよう。 三つ目の餌場に着いた。 そこには先客の姿があった。野良ゆっくりだ。 れいむはもう食べたからいらないよ。ゆっくりしていってね。 心の中でそう呟き、ゆっくりと餌場に背を向ける。 「れ、れいむ! やっぱり、れいむなんだぜ!」 聞き覚えのある声だ。誰だっただろう? れいむがゆっくりと餌場に振り返る。 先ほどの野良ゆっくりが、こちらへと跳ねてくる。 それは変わり果てたまりさの姿だった。 これは本当に、あのまりさなのだろうか? れいむは唖然としながら、目の前のゆっくりに目を走らせた。 真っ黒な帽子は皺だらけで、鍔が所々欠けている。 得体の知れないゴミの絡まった髪の毛は、脂ぎって土色に変色している。 肌はカサカサに乾燥し、今にもヒビ割れてしまいそうだ。 頬はゲッソリと痩せこけて、眼窩が暗く窪んでいる。 満足に食事や睡眠が取れてないのかも知れない。 「あまりジロジロみられると、てれるんだぜ~」 照れているつもりなのか、身体をくねくねと左右に揺らしている。 なんと醜悪なゆっくりなんだろう。 まりさは自分を捨てた最低なゆっくりだ。 だが、その美しさだけは本物だった。 赤ちゃんにまりさの面影を見た時、密かに感謝をしたくらいだ。 そのまりさが目の前のゆっくりだなんて、れいむにはすぐに信じる事が出来なかった。 「本当にまりさなの?」 「まりさにきまってるんだぜ! うたがうなんてひどいんだぜ!」 疑うなと言う方に無理がある。 似ても似つかないその姿は、そこらの野良ゆっくりの方がまだマシだ。 だが、やはりこのゆっくりは、まりさなのだろう。 このどうでもいい性格が、これはまりさだとれいむに訴えかけている。 「……仮にまりさだとして、まりさはれいむに何の用なの?」 「れいむ~、まりさをたすけてほしいんだぜ~。こまってるんだぜ~」 「どうして、れいむが助けないといけないの? 助けて欲しい時に捨てたクセに? 馬鹿なの? 死ぬの?」 「そんなつめたいこといわないでほしいんだぜ~。こうなったのには、れいむにだってせきにんはあるんだぜ~」 「聞き捨てならないよ。ゆっくり説明してね!」 頬に空気を溜め込んで、身体を大きく膨らませ威嚇してみせるが、本当は怒ってなどいない。 そんな気力はとうに失せていた。 ただ、まりさがこうなった理由にだけは興味があった。 叱られた子供のように、まりさがその身に起こった事をぽつぽつと語り始める。 れいむに会うため、毎日のように公園に通っていたまりさ。 ただし、いつもお兄さんと来ていたわけではない。 まりさはお兄さんの目を盗み、一人で公園に来る事もあった。 これは、れいむも承知していた事だ。 愛ゆえの行動だと、バカバカしいほどに信じていた。 だがまりさは、あれで外に遊びに行く味を占めていたらしい。 れいむを捨てた後も、まりさは家を抜け出していた。 初めはこっそりと、公園で他の飼いゆっくりと遊ぶ程度だった。 しかし仲の良いゆっくりが出来ると、少しでも長く一緒にゆっくりしていたくなる。 ある日まりさは、お兄さんの帰宅時間も忘れて、ゆっくりし過ぎてしまった。 慌てて家に戻ると、そこには、すでに帰宅しているお兄さんの姿がある。 必死になって謝りながらも、怒られる、もう外で遊ばせてもらえない、まりさはそう思い困り果てた。 だが、お兄さんは優しかった。愚かしいほどに優しかった。 冒険したい年頃なのだろうと思い、楽しかったかい? お友達が出来て良かったね等と優しい言葉をかけてしまった。 これが、まりさの増長を招いた。 お兄さんが家にいる間でも、堂々と外で遊べる。 好きなだけ外でゆっくり出来る。 怒られないのだから問題ない。 まりさはそう理解した。 まりさの行動は、徐々にエスカレートしていく。 お兄さんの帰宅時間との兼ね合いで、これまで近所の公園までだった行動範囲。 しかし自由を手に入れた今、まりさを縛るものはない。 他の飼いゆっくりの家に押しかけ、心ゆくまでゆっくりする。 まりさは飼い主が留守になる事の多い飼いゆっくりを狙った。 飼い主がいなければ、何をしたって咎められる事はないからだ。 そう、好きなだけ、すっきりが出来る。 まりさは普段、れいむの事を思い出したりしなかったが、すっきりの記憶だけは何度も反芻していた。 れいむとしたすっきりは最高に気持がちよかった。 薄汚い野良ゆっくりとのすっきりでも、あの恍惚感が得られるのだ。 自分と同じ飼いゆっくりとなら、もっとすごいすっきりが出来るだろう。 まりさはそう考えると、居ても立っても、すっきりしたくて堪らなかった。 だが公園ですっきりしようとすると、相手の飼い主に怒られてしまう。 なら、どうすればいい? 答えは簡単だ。飼い主のいない時にすっきりすればいい。 しばらくすると、まりさは複数の飼いゆっくりと、すっきり関係を持つようになっていた。 1日に1すっきりは当たり前。多い日は3人以上とすっきりする事もあった。 当然、帰宅時間は遅くなる。夜半過ぎまで家に帰らない事もあった。 それでもお兄さんは怒らなかった。 まりさが家に帰らない日があっても、お兄さんは怒らなかった。 だが、そんなまりさのすっきり生活も、ある日終焉を迎える事になる。 相手の飼いゆっくりの一人が、にんっしんしてしまったのだ。 れいむの場合は野良ゆっくりだった。 しかし今回は飼い主のいる飼いゆっくり。 怒りが有頂天な飼い主が、お兄さんの家に怒鳴り込んできた。 ひたすら平謝りさせられた挙句、ごっそりと養育費まで取られたお兄さん。 ここまで来ると、さすがのお兄さんも、自分がどんなに馬鹿だったのか気がつく。 まりさを見つめるお兄さんの目は、冷たい輝きに満ちていた。 その時、まりさは言葉ではなく本能で理解する。 このままここにいたら殺される。 まりさは唯一の出口を塞がれる前に、お兄さんの家から逃げ出した。 自分に都合の悪い箇所を端折りながら、まりさはれいむに説明した。 つまりは殆ど端折られた。 れいむが知ったのは、公園に行き過ぎたせいでお兄さんに殺されそうになり、まりさが家を飛び出した事くらいだ。 「おうちに帰れば?」 「そ、そんなことしたらころされるんだぜ! まりさはまだしにたくないんだぜ!」 「じゃあ、まりさはどうしたいの?」 「れいむにたすけてほしいんだぜ~。そうだ! まりさがれいむのおうちにすんであげるんだぜ!」 どこをどうすれば、この発想に辿りつくのだろう? まりさは自分を置いて行った時の事を、まったく覚えてないのだろうか? 実際、まりさはろくに覚えていなかったが、呆れ返ったれいむには、かける言葉が見つからなかった。 「はやくれいむのおうちにあんないするんだぜ! ふたりでゆっくりするんだぜ!」 「まりさは本当に馬鹿なの?」 「そんなことないんだぜ! ゆっくりかんがえたけっかがこれなんだぜ!」 ああ、やっぱり馬鹿なんだ。 れいむはこんなのに餡子をときめかせた事のある自分が、心底嫌になってきた。 このまま、まりさを振り切って、巣に帰る事は出来るだろう。 まりさの身体はボロボロだ。とても自分に追いつけるとは思えない。 だが、しかし……自分が捨てれば、まりさは多分、いや必ず死んでしまう。 別に死んでもかまわないのだが、れいむにはそれすらも、どうでもいい事に思えた。 どうせ巣は空いているのだ。 赤ちゃん達が去ってから、巣の中はれいむ一人で住むには広すぎた。 まりさが一人増えたくらいで、どうとなるものでもない。 なら、まりさがいれば、赤ちゃん達を失った悲しみが埋まるのだろうか? そんな事、考えるまでもない。 まりさはまりさだ。最低なゲスゆっくりだ。 赤ちゃん達の欠片にも値しないだろう。 だが、それでも……れいむは、まりさを巣に連れ帰る事にした。 「わかったよ。れいむのお家で勝手に住めばいいよ」 「さすが、れいむなんだぜ! あいしてるんだぜ!」 大喜びで、れいむの周りを跳ね回るまりさ。 その姿を見て、れいむは何も感じなかった。 まりさとの生活が始まった。 まりさは当然のようにれいむが持ってきたご飯を食べると、当然のようにどこかへ遊びに行った。 まりさがどこに行くのか、れいむは全く気にならなかった。 暗くなると、まりさは巣に帰ってきた。 そしてれいむの取っておいたご飯を当然のように食べると、当然のようにすっきりを求めてきたが、それは丁重にお断りした。 まりさとすっきりすれば、また赤ちゃんが出来るだろう。 可愛い赤ちゃん。 でもそれは、今頃人間の家でゆっくりしてる、あの赤ちゃん達ではない。 れいむの思考は、ゆっくり成らざる物へと変化していた。 れいむにはゆっくり出来る物が残っていなかった。 ある日、れいむが巣に戻ってくると、そこにはまりさともう一人のゆっくりがいた。 だらしない表情をしたまりさが、そのゆっくりに擦り寄っている。 初めて見るゆっくりなのに、その名前が何故かれいむの頭に浮かんできた。 あれは、ぱちゅりーだ。 「どうしたの、まりさ? 何でぱちゅりーがいるの?」 「ぱちゅりーはいえがなくてこまってたんだぜ。だからまりさのおうちにしょうたいしたんだぜ!」 いつの間にか、この巣はまりさのお家になっていたらしい。 大方このぱちゅりーは、まりさがすっきり相手として連れ帰って来たのだろう。 毎晩お断りしてたから、まりさはすっきりしたくて堪らなかったに違いない。 れいむはそう考えたが、怒りはどこからも沸いて来なかった。 陶器人形のような表情で、目の前にいる二人を眺める。 「ところでれいむ。ごはんはまだかなんだぜ?」 「ご飯? ご飯はこれでも食べるといいよ」 れいむは頬にしまっていたご飯をペッと吐き出す。 さっき巣の前で何となく捕まえたバッタだ。 何となく捕まったばっかりに、バッタはまりさに食べられてしまう。 目の前のバッタを見て、れいむはバッタと自分のどちらがついてないのだろう? などと考えていた。 「ちょっとまつんだぜ、れいむ。これじゃはらのたしにもならないんだぜ!」 「じゃあ自分で取ってくれば?」 「まりさよりれいむのほうが、かりがうまいんだぜ! それにまりさはいっかのだいこくばしらだから、どしんとかまえておくべきなんだぜ!」 一家の大黒柱。れいむの親まりさは、まさにそう呼ぶべき存在だった。 自ら先頭に立ち家族を支え、そして真っ先に人間に捕まった。 それに比べて、この新たな自称大黒柱は、何と頼りない事だろう。 この巣の中には何も残っていない。れいむの中にも何一つ残っていない。 れいむはゆっくりと巣を後にしようと二人に背を向けた。 「やっといくきになったかなんだぜ! びょうじゃくせっていのぱちゅりーのぶんもたのむんだぜ!」 「むっきゅう、じびょうのぜんそくがつらいわ」 「何言ってるの? れいむはご飯を持って来ないよ。ゆっくり理解してね」 「れいむこそ、なにいってるんだぜ? ごはんをもってこないなら、れいむはこのいえにすむしかくがないんだぜ!」 「それでいいよ。そのお家は二人にあげるから、勝手に使ってね」 れいむは巣の外に出た。 綺麗な夕日が空を赤く染めていた。 後ろの巣穴から、まりさが自分を呼ぶ声が聞こえる。 その声が、れいむのすぐ後ろまで近づいてくる。 「れいむ! さっさと、ごはんもってくるんだぜ!」 ポスンとひどく呆気ない音がして、れいむはまりさに突き飛ばされていた。 土手は傾斜だ。れいむの丸い身体が土手を転がり落ちていく。 この先には川が流れている。 ずっと住んでいた巣の前である。 れいむは誰よりも先に、自分に迫っている危機を感じ取っていた。 足に力を入れれば、今なら方向を変える事も出来るだろう。 だが、れいむは、このままでいいと思った。 最初に家族を失った。これは人間が連れて行ったせいだ。 その次に人間に飼われていたまりさを失った。これは赤ちゃんが出来たせいだ。 赤ちゃんを失った。これは自分のせいだ。 自分が良かれと思い決断したせいだ。 だが、これだけは誇りに思っていいはずだ。 赤ちゃん達は人間とゆっくりし、立派なゆっくりに成長するだろう。 失った物は多いが、自分は未来の幸せを得る事が出来た。 赤ちゃん達、ゆっくりしてるかな? れいむの意識が水に溶けた。 ここは静かな森の中──ではなく、都心に程近いベッドタウンの一画。 川原の土手に掘られた巣の中に、あるゆっくりの家族が住んでいた。 まりさとぱちゅりー二人きり。子供はまだいないが、ぱちゅりーの頭には茎がはえていた。 きっと後数日もすれば、可愛い赤ちゃんが産まれるだろう。 だが、二人にそんな時間は残されていなかった。 「わんわんわん!」 「い、いいいぬさん、やめるんだぜ! たべるんなら、ぱちゅりーのほうをたべるんだぜぇえええ!」 「むっきゅううぅうう!! ま゛りざなに゛いっでるのおおぉおおおお!?」 土手でゆっくりを見つけた犬さんことポチはこう考えた。 後ろの奴は何だか動きがにぶそうだ。まずはこのよく動く方を何とかしよう。 ポチの中で野生が弾けた。 逃げるまりさに飛び掛り、そのまま上から地面に押さえ込む。 これで相手は簡単に逃げられない。 今度は両手の爪をしっかり食い込ませ、動く気力を削いでおく。 「やべるんだぜえぇええ!! ま゛りざはおいじぐないんだぜえぇええええ!!」 何やら叫んでいるが、ポチにはそんなこと関係ない。 帽子が取れてガラ空きになった頭頂を一齧り、二齧り。 抉られた傷痕から、真っ黒な餡子が噴出する。 「ま゛りざのあ゛だま゛があ゛あぁあああああ!!」 あまりの痛みに、まりさはポチの抱擁の中で暴れた。 こいつ動くぞ! ポチはゆっくりのポテンシャルに戦慄した。 しかし、こちらが優勢なのに変わりはない。ポチは負けじと、そのまま頭に齧り付く。 饅頭の皮だけあって、あまり噛み応えがない。じじぃのくれる犬用ガムの方がまだ気合いが入っている。 噛んでは千切り、噛んでは千切り、後頭部の餡子を剥き出しにしていく。 顔面だけ残し抉り取った所で、やっとまりさの動きが止まった。 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……ゆ゛っ……」 「わんわんわん!」 どうやらまだ生きているらしい。驚いたポチは、念のためにもう二齧りし、まりさの息の根を完全に止めた。 次のターゲットは、白目を剥いてガクガク震えてるぱちゅりーだ。 ポチは相手がまだそこに突っ立ってた事を犬の神様に感謝した。 一気に間合いを詰め、まずは頭上をふらふら揺れている茎を噛み千切る。 「ぱぢゅり゛ぃのあがぢゃんがあぁああああ!!」 思ったとおりだ。もう一匹になかったアレは、何やら大切な物だったらしい。 これで勝つるわん! ポチは勝利を確信し、微動だにしない相手の顔面に齧り付く。 その時、ポチに電流走る。 さっきのと味が違う! うっめ! めっちゃうっめこっち! じじぃのめしよりよっぽどうめぇ! パネぇわんわんわん。 ポチはガツガツとぱちゅりーに貪り付いた。まさに犬食いである。 だが、そんなポチの幸せも、長くは続かなかった。 「ぽーち、ぽーち! まったくポチは足が速いのぉ。ワシを置いていかないでおくれ──ってナニ食っとんのじゃあああああ!!」 「きゅうぅん……」 飼い犬を放して散歩させるという暴挙をしでかしていた飼い主が、ゆっくりを貪り食うポチを発見したのだ。 ポチは頭をペシペシ叩かれて、思わず尻尾をクルっと丸める。反省の合図だ。 これを見た飼い主はポチを撫でると、ふぅと大きくため息をついた。 「久しぶり散歩コースをもどした結果がゆっくりじゃよ! ポチ帰るぞ! そんなもん食ったら腹壊すだろうに」 「わんわんわん!」 一人と一匹が土手を後にする。 後にはただ静寂とゆっくりの屍だけが残された。 おわり このSSに感想を付ける
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※虐めじゃないかも 俺はゆっくりが嫌いだ 作者:古緑 俺はゆっくりが嫌いだ 俺にゆっくりする気なんて無い 朝から晩まで仕事で忙しい身だ でも別に殴ったり蹴ったりしたいわけじゃない 嫌いなだけだ 餡子嫌いだから食うのも嫌いだ 「ゆっくりしていってね!」 この台詞も好きじゃない どんなゆっくりも同じことを言う 俺の趣味はバスケットボールだし ゆっくりしたものはあまり好きじゃない 「こわいかおしてないでゆっくりしてけばいいのに」 こいつはどっから入ってきてんだよ ゆっくりれいむだか何だか知らねぇが そこは俺んちの庭だ お前の『ゆっくりプレイス』じゃないんだよ 何も無い庭だけどお前みたいなのがいると鬱陶しい 出て行け 「ゆっ?ゆっくりしていってよー!」 ほら!出て行け!まったく ああいうのが『ゆっくりの押し付け』ってヤツか ゆっくりしてる暇なんてないんだよ 今日はとっとと寝たいんだ 「おじさんをゆっくりさせるよ!」 …また入ってきたのか 門はしっかり閉めた筈なんだがな どうでもいいが俺はまだお兄さんって歳なんだよ いいや、こんなのに構ってる暇は無い 「ゆっくりしていってね!」 もう放っておく どうせ雨戸を閉めちまうんだ しつこいゆっくりセールスに付き合う気はねーよ じゃあな押し付け販売員 「おふとんでゆっくりしていってね!」 デカイ声だ 春が近いとはいえまだ朝は少し冷えるな 古い鉄の雨戸は冷たくて指が凍えそうだ 「ゆっくりしていってね!」 …何のつもりなんだおめーは 今都市部で話題の乞食ゆっくりか? だったらここに来たのは間違いだ 家には碌に飯なんて無いんだよ わざわざ乞食にやる気もないからヨソあたんな 「おじさんはよゆうがないね!」 家出るときついでに摘み出しとくか 鬱陶しい生物だ それにしても本当に余裕ないな 朝飯は駅前のコンビニでランチパックかな 「ゆっ?ゆっくりはなしてね!」 おい二度と家の門くぐんじゃねーぞ 帰ってきた時またそのツラ見せたらブン殴ってやる 「ゆっくりしていってよ…」 やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ 変なのに構ってたせいでいつもより遅れてるじゃねぇか 急がないと 「なかなかとかいはなまりさね!す…す…すっきりしましょほおぉおお!」 「やべろおおぉおお!!れいばーあでぃずはゆっくりじねえぇえぇ!!」 あの野良ゆっくりありす まだ生きてたのかよ 散歩中の飼いゆっくりに襲いかかってやがる 「ばでぃぶっ!」 あ蹴られた 本当に見苦しい生き物だな あんなのまでいるからゆっくりは嫌いだ うあぁ疲れた 帰って柿ピービールが平日の唯一の楽しみです 「ゆっくりおかえりなさい!ゆっくりしていってね!」 「むししないでね!」 てめーどっから湧いてきてんだ不思議生物の特権か ブン殴るって言ったの忘れたのか 「おぉこわいこわい」 『プシュ』あぁイイ音 ん?やらねーからとっとと失せろ 家ん中には入れねーぞ 一歩でも入り込んだら蹴りくれてやる 「つんつんしないでゆっくりすればいいのに」 舐めてんのか?二度とここまで来れねーように 今度は車で 「おじさんをゆっくりさせるよ!」 …だいたいそのゆっくりって何なんだよ? それに俺をゆっくりさせるって昨日も言ってたな? 「ゆっくりはゆっくりだよ! おじさんはあさからばんまでぜんぜんゆっくりしてないね! たまにはゆっくりしなきゃいつかゆっくりできなくなっちゃうよ!」 お前がいると駄目だわ ビールが全然旨くねぇ 明日の朝一で町外れの山まで車で捨ててきてやる それがヤなら今夜中に失せるんだな 「ゆっくりよるをあかしていってね!」 やらねーと思ってんのか ナメやがって やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ ぽつぽつと大きくなる屋根を叩く音でふと目が覚めた まだ午前二時だ 明日の朝は雨かな もうザーザー音がするぐらい強い雨に変わってる まぁどうせ車で行く気だしどうでもいいや あのウザイ饅頭生物載っけてかなきゃだし そんな事を寝ぼけた頭で考えてると あのウザイ顔が困ってるような気がした 『ゆっくりは水に弱く雨に当り続けると死んでしまいます』 そんなどこかで聞いたような言葉が頭の中に浮かぶと 俺は布団から飛び起き 一階の雨戸まで急いで駆け下りていった 「オイ!」 「ゆっくりしてないねおじさん れいむはゆっくりできてるよ」 困った顔はさっき頭に浮かべた顔そのままだった 雨戸の外に雨を避ける場所は無く ゆっくりれいむの釣り上がっていた眉はハの字に曲がり リボンはびしょびしょになって濡れた髪に垂れていた 「………」 「ゆっ?」 俺はゆっくりが嫌いだ だけどその命そのものが嫌いなんじゃない 死にかけた命が目の届くところにいたら 手を貸してやりたいと思う事はきっと悪い事じゃない その命を助ける事で誰かが困る事もあるのかも知れない だけど命を救いたいと思う事自体はきっと悪い事なんかじゃないはずだ コイツの場合だったら玄関先を貸してやる事ぐらいいいだろう 起きたら雨は上がっていた 時計は7:35を示している あのウザイ生き物に関わっていたせいか 早起き出来なくなってる気がする こっから車で外れの山なんて行ってたら完全に遅刻だ 「ゆっくりしていってね!」 はいはいゆっくりゆっくり そりゃ挨拶なのかお前等の場合 なに我がモノ面で家の中跳ねてんだよ 昨晩拭いといて良かったわ 雨が上がったんならとっとと出て行きな 「おそとでゆっくりしていくよ!」 さてそろそろ行かなきゃな お日様も出てるし、たまにはバスなんか使わず駅まで歩いてくか まだまだ間に合うだろ 「ちょっとはゆっくりできるようになったみたいだけどまだまだだね!」 なんか満足そうだなお前 コイツどうしよう? まぁそのうちどっか行くだろ ゆっくり考えてきゃいいや それにしても生意気なヤツだ やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ 寒いから帰りはバスにした 柿ピーとビールの補充は忘れない 明日は休みだしアイツに影響されたワケじゃないが たまには家でゆっくり過ごすのも悪くないだろう 「ゆっくりしていってね! おじさん!あしたはゆっくりするんでしょ?」 すっかり庭に居着いてるなお前 ゆっくりの事は嫌いだし追い出してやろうと思ってたが こいつの騒音で文句言うヤツはこんな田舎にはいないし 家に帰った時誰かが声をかけてくれるのは悪くない ペットなんてつもりは更々ないが ただっ広いだけの庭に勝手に生かしておくぐらいいいだろ 疲れてっからもう雨戸締めて寝るぜ 「あまどさんこんばんわ!ゆっくりしていってね!」 馬鹿だなアイツは AM 10:00 完全に影響されてるな でも悪い気はしない どうせ今日はゆっくりしようと決めてるんだ 飯でも買いにいくか 「ゆっくりしていってね!」 はいはいゆっくりゆっくり …そういえばこいつと時間を気にせず顔を合わせるのは初めてだな 俺はゆっくりが嫌いだが話をするのが嫌いなワケじゃない ちょうどいい機会だし色々聞いてみるか お前さ、何で俺につきまとうんだ? 「なんどもいわせないでよね! おじさんをゆっくりさせるためだよ!」 それについては癪な事だが成功したようだな 本当に変なゆっくりだな 人をゆっくりさせようとするゆっくりなんて 古過ぎるゆっくりはもう化石レベルだぞ なんでそんなに人をゆっくりさせたがる? 「だれかをゆっくりさせるとれいむもゆっくりできるよ …それにこのせかいのみんなはゆっくりしてないよ」 この世界?お前はどこから来たっていうんだ? 「れいむはやまでゆっくりしてたら いつのまにかここにいたよ」 何言ってんだお前 ゆっくり語は理解出来ないね じゃあお前、どうしてこんな何も無い庭に住み着いてんだ? 何も食うもんないだろ? 「くささんもむしさんもたくさんいるよ?」 あぁ…手入れしてないからな そんなモンでいいのかよ 都市部の奴等で草なんて食うヤツはもういないのに お前好きなモノとかあるのか? 「ゆ?れいむはゆっくりするのがすきだよ!」 そうじゃねぇよ 食べ物ってことだ 今まで食ってきた中で一番旨いかったものとか、 あるだろ? 「だったらたいやきさんだね! でもかんたんにはてにはいるものじゃないよ! さとまでいかないともらえないものだからね!」 あっそ ちょっと出かけてくるわ 「おじさん!」 なんだよれいむ 「いっしょにゆっくりしようね!」 別にアイツが好きって言ったから 鯛焼きを買ってきてやるワケじゃない 俺は餡子の詰まった鯛焼きが大好きだからな 一つぐらい買って分けてやるぐらいならいいだろ それにしてもところどころワケの分からないヤツだ やっぱり俺はゆっくりが嫌いだ でも悪くない あんなに自然体のまま誰かと話すなんて 母が死んで以来かもしれない 鯛焼きなんて買うのは産まれて初めてだ スーパーの先に屋台があるからついでにそこで買ってくか ゆっくり歩いていこう それがさっきまでの事 今俺の目の前には頭から蔦を生やし 真っ黒になったゆっくりれいむがガラス窓の前で横たわっている かつての笑顔は苦悶の表情に変わり全く動かない ガラス窓の前で死んでいたのは家を守ろうとしてくれたのか? 抱き上げるともちもちと弾力のあった体は端の方からポロポロと崩れ落ちていった 呆然としたまま庭を見ると叢の陰に隠れた木製の塀に ゆっくりれいむぐらいの小さな穴がある ずっと庭なんて見てなかったから忘れてたが 俺が子供の頃に蹴って開けた穴だ いくら追い出しても入ってくるワケはこれだったんだ 『これ』をやったヤツもここから入ってきたんだ どうしてゆっくりれいむがこうなったのかは分かってる ゆっくりれいむの頭に成った黒い実の中に ゆっくりありすの実があるからだ この辺の野良ゆっくりありすなんて一匹しかいない さっきすれ違ったのがそいつだ 俺はゆっくりが嫌いだ 命を気紛れに奪う事は悪い事だと思っている しかし今から俺がやる事は間違っていないと思う 友を殺した仇を討つ事はきっと間違っていない 震える拳を握りしめ 仇の住処の公園に向かいながら俺はそう真剣に考えていた
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本編(未完) 永遠のゆっくり1 永遠のゆっくり2 永遠のゆっくり3(前編) 永遠のゆっくり3(後編) 永遠のゆっくり4 永遠のゆっくり5 永遠のゆっくり6 永遠のゆっくり7 永遠のゆっくり8(前編) 永遠のゆっくり8(後編) 永遠のゆっくり9(前編) 永遠のゆっくり9(後編) 永遠のゆっくり10 永遠のゆっくり11 永遠のゆっくり12 永遠のゆっくり13 永遠のゆっくり14 永遠のゆっくり15 永遠のゆっくり16 永遠のゆっくり17 永遠のゆっくり18 永遠のゆっくり19(前編) 永遠のゆっくり19(後編) 永遠のゆっくり20(前編) 永遠のゆっくり20(後編) 永遠のゆっくり21(前編) 永遠のゆっくり21(後編)
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「「ゆっくりしていってね!」」 ハッキリと、大きな声が畑の近くで聞こえた。声のする方へ近づいてみるとそれは二体の生き物だった。 畑の脇の道にいた二体は人語を話してはいるがどうみても人間やオウムの類ではなかった。 二体に共通する特徴は、バスケットボールほどの大きさの饅頭であるということだろう。 饅頭が生物なのが矛盾しているが、そうとしか言いようのない形であり、また中身も餡子なのでこれが適切だと思う。 左の方の饅頭は、黒のとんがり帽子と長い金髪を持ち、右の方は赤を基調としたリボンを付けていた。 私たちは彼女たちの総称を便宜上、「ゆっくり種」と呼んでいる。由来は先ほどの挨拶だ。 そしてこの二体はそのゆっくりの中でもポピュラーな種類である。左が「まりさ」で右が「れいむ」だ。 自分たちでそう名乗っている以上そうなのだろう。 「やあこんにちは。ゆっくりしてるよ。君たちもゆっくりしてるかい?」 「「ゆっくりしてるよ!!!」」 元気そうに跳ねる二体。私は持ってきたチョコを彼らにプレゼントした。ゆっくりは総じて甘い物が大好きなのだ。 「「ゆー!ゆっくりたべるよ!・・・ゆっくりー!」」 嬉しそうに頬張る二体。するとどこからか別のゆっくりがやってきた。 「チーンポ!」 「とかいはなありすとゆっくりしていってね!!!」 「うー♪うー♪おやつー!」 チョコの匂いに釣られてやってきたのは、みょん、ありす、れみりゃの三体だった。 れみりゃは他のゆっくりと違い人の体に近い体格をしている。 周りに幽霊のような物が浮かんでいるのがみょん。金髪にカチューシャを付けているのがありすだ。 「君達の分もあるよ。はいどうぞ。」 そういって残っていたチョコを渡した。これ以上増えたら流石に足りなかったが増えなかったので安心した。 食後、彼女たちは近くの野原に移動して遊んでいた。 ありすは、花を千切って髪飾りを作っているようだ。細かい作業を口でこなせるのが不思議である。 みょんとまりさは斜面を転がったり登ったりしていた。生首が転がっているようで、結構不気味でもあるが 本人たちの顔は幸せそうである。 れいむはれみりゃに抱っこされながら空を飛んでいた。 「ゆー、おそらをとんでるみたいー!」と楽しそうにしていた。 近くの森には結構な数のゆっくりが居るようだが、たいして問題にはなっていなかった。 別に作物を荒らすわけでもなく、森の食べ物を食いつくこともなく、何故か野生動物にいっさい襲われない彼女たちを 無下に扱う村人はいなかった。 それどころか、彼女たちは畑の雑草を刈ったり、老人の話相手や子供たちと遊んでいたりと、友好的な関係を築いていた。 私も初めてみた時から彼女らの虜になっていた。語彙こそ少ないが、彼らは的確に自らの思いを口にし、 仲間同士で仲良くしている姿は愛らしい子供のようだった。 夕方すぎになり私も家に帰ることにした。 「「ゆっくりさようならだね!!!」」 れいむとまりさ達はそういって森へ帰って行った。私も夕食のメニューを考えながら帰路についた。 それが彼女たちとの最後の会話だとも知らずに。 夜の森、そのど真ん中でゆっくり達は寝ていた。数は数十匹ほどだろうか。 毛布代わりに葉っぱをかけているだけで全く無防備である。 だが彼女たちは他の生き物に襲われることはない。正確に言えば、見た目と違い襲ってくる野生動物を撃退できる程度の力を有しているからだ。 しかしそんな彼女たちにも魔の手が迫っていた。その手は彼女たちを掴むと、そのまま袋に入れていった。 そうして全員を入れ終えた後、その人影はどこかへ消え去っていった。 郊外にひっそりと建てられたとある施設。そこはとある会社の倉庫だった。 元々は別な目的で作られたようであるが、紆余曲折あって今はとある金持ちの所有物となっていた。 そこへ先ほどのゆっくり達が運ばれてきた。彼女たちは数ある倉庫の一つへ連れてこられると、そこへ無造作に放り込まれた。 流石に振動で目を覚ましたようで、彼女たちはキョロキョロと辺りを見回していた。 そこへ何人かの若者が入ってきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 そう言ってその男たちはポヨンポヨンと近づくゆっくり達。男たちはそのうちの二体を掴みあげた。 「ゆ?ゆっくりもちあげられたよ!」 どうやら抱きかかえられたと思ったらしい。れいむは喜んでいた。 掴みあげた男は、れいむを観察するとそのまま床に叩きつけた。 ベチィ!っと床に叩きつけられたれいむは、何が起きたのかわからずただただ、泣き続けていた。 「ゆー!ゆっくりできないよ!ゆっくりいたむよ!」 「「「「ひどいことはゆっくりやめてね!!!」」」」 他のゆっくり達から抗議の大合唱を受けたが、特に気にせず男たちは話していた。 「饅頭のくせに潰れないのはおかしいだろ。常識的に考えて・・・」 「ていうかこいつら生き物なら、どうやって個体を増やしてるんだ?生殖器なんぞ見当たらないが」 「そもそも食った物はどこへ行ったんだ?」 「ていうか甘いものが好きなら、共食いしそうだぞ。饅頭だし。」 「とりあえず実験してみようぜ。なにせ数は多いんだ。気を使わなくて済む。」 男たちはそれぞれの実験のためにゆっくり達をそれぞれ連れて行った。 ある男はゆっくりの繁殖について実験していた。当初は分裂でもするかと思ったが流石にそれはないと判断した。 しかし体のどこにも繁殖に使われそうな物はなかった。仕方がないので体を無理やり触れさせてみた。 「いたいよ!ゆっくりやめてね!」 「ありすもいたいわ!ゆっくりやめてね!」 男の手でゴシゴシと二人はすり合わされていた。まりさの後ろからありすを押し続けていた。 かれこれ30分は経過した。一向に変化はない (やはり他の動物みたいな生殖器はないのか・・・隠れてる説も考えてみたが無駄だったようだな。) 男は諦めて次の実験をしようとした瞬間、突如、ありすから男性器に似た物が文字通り生えてきた。 「ゆー!なにこれ?わからないわ!」 まりさの方を見てみると何か穴が開いていた。どちらも先ほどまではなかったものだ。もしやと思い無理やりそこへねじ込んでみた。 「ゆー!ゆっくりできない!ゆっくりさせて!」 「ゆ!ゆ!・・・ゆっくりー!」 入れてすぐにありすは絶頂に達したようだ。 しかしそれだけで何も起きなかった。しかし男の眼は輝いていた。 (妊娠はしなかったが・・・生殖活動を行える事がわかっただけでも大きな進歩だ。次は妊娠の方法だな。) 男は今の出来事を記すためにパソコンに向かい合った。 別な男はゆっくりの食事について調べていた。基本雑食であるが、特に甘い物が大好きなのがゆっくりである。 ならば辛い物はどうなのだろうか。甘党な連中のことだ。辛さは苦手だろう。 ためしに一匹のちぇんにキムチを食べさせてみた。 「からいんだよーたべれないよー!」 予想通り苦手なようだ。しかし大した変化もなく、男はつまらなそうな顔をした。 (せめて辛さにのたうち回って死ぬとかしたら面白いのにな) そう思いながらもう一回キムチを食べさせてみた。すると 「からいよー!ゆっくりできないよー!たすけてー!」 そういって暴れ出した。手から落ちたちぇんがそのままのたうち回って死んでしまった。その顔はまるで窒息死でもしたかのような顔だった。 先ほどまではただ嫌がってただけなのに何故・・・考えてもわからないのでとりあえず別な実験をすることにした。 甘いもの好きなら共食いはするのだろうか。 手始めに適当なゆっくりをテーブルに置いた。まりさだった。 「ゆっくりしていってね!!!」 純粋無垢な目をこちらに向けていた。 俺はそのまりさをいったん放置して、近くのれみりゃを抱きかかえて椅子に戻った。 「う~♪だっこー!」 嬉しそうにこちらにひっつくれみりゃ。俺はそのれみりゃに対して 「お腹すいてる?甘いのでも食べる?」 と聞いた。すぐさま 「うー!たべるー!」と返事をしたので、れみりゃは床に下ろしてテーブルの上のまりさを持った。 「あーんして。ただし眼は瞑るんだよ。」 「うーーーーーん」 大きく口を開けたれみりゃの口の中にまりさを入れる。そして 「はいとじる。」 グシャっという音が響き渡った。どうやらまりさは即死のようだ。断末魔さえあげなかった。 「うー!おやつ・・・うー!まりさがくちにいるー!どうしてー?」 どうやら事態を把握できてないようだ。まあそれならそれでいい。 餡子の味を覚えたなら、おそらく他のゆっくりも遠慮なく食える気がする。いやまあ普通に考えれば仲間を自発的に食ったりはしないだろうが なのでこれは俺の希望にしかすぎないのだが。 「れみりゃ?饅頭はおいしかったかい?」 「うー!おいしかったー!」 「そうか。ならあそこにいる饅頭も食べていいよ。」 さあどうでる。多分食わないだろうが、個人的には食べた方が面白い。 「うー・・・・?」 迷っているのか、それとも何も考えてないのか。表情からはいまいち読み取れない。だが次の瞬間 「うー!おやつたべるー!」 近くにいたれいむを掴んでかじった。 「ゆっくりやめてねれみりゃ!ゆっくりできないから!」 れいむの訴えもむなしく食べられてしまった。 結局このゆっくり達はれみりゃに全員食べられてしまった。しかしなんでこいつらは逃げなかったのだろうか。 結局この倉庫では全滅するまで若者たちは思い思いの実験を楽しんだ。そのあとも若者たちは実験を繰り返し それらをブログ等で発表。たちまち話題となり、全員捕まった。森への不法侵入である。 そしてその発表がネットで広まると、ゆっくりに対して様々な情報が飛び交った ゆっくりは野生動物と同じくゴミ箱を荒らすだの ゆっくりの排泄物も餡子だの ゆっくりは植物のように繁殖するだの 車に似た物に乗って高速道路で100kmを出しただの。 優しそうに見えて実は口が悪いだの 根拠のない情報が飛び交った。しかしその情報は数日後に現実になった。 それから数年後、今はゆっくりは害獣の代名詞のような扱いだった。 畑を荒らし、ゴミ箱をあさり、他人の家にかってに住み込んでおうち宣言を行い あげく住人には暴言を吐く。なまじ知能と言葉を持ってるが故にそこいらの動物などとは 比べ物にならないほどタチが悪かった。 私はそんな状況を哀しんでいた。どうしてゆっくりはこうなったのか。ふと一軒家を覗いてみると、そこにはれいむとまりさ そしてその子供たちが数体居た。彼らは住人であろう男に向かって 「ここはれいむたちのおうちだよ!ゆっくりできないおにーさんはでていってね!!!」 「おやつをもってくるならいるのをゆるしてあげるんだぜ!!!」 男はため息をつくと、傍に居た犬の首輪をはずした。 「食べていいぞ。」 すぐさま犬はゆっくり達に襲いかかった。まずはまりさの帽子が奪われた。 「なにするんだぜ!ゆっくりできないばかいぬはとっといぎゃああああああああああ!!!」 頭から噛まれたまりさは、そのまま二三回地面に叩きつけられた。金髪の髪が餡子で汚れていた。 「やべるんだぜぐぞいぬ!!!!ぐぞじじい゛ぼびでないでどっどどだづげろ゛お゛お゛お゛!!!」 「まりさ!しっかりしてね!いまたすけるよ!」 「おとーしゃんいまたちゅけるよ!」 他の家族が必死に犬へ体当たりをする。しかし効果は全くない。 そうこうしてるうちに子供まりさの一匹が「そろーり、そろーり」と言いながら庭から出て行こうとしていた。 しかしそれに気付いた親れいむが止めようとする。 「どうじでがぞぐをみづででに゛げよ゛う゛どじでるのお゛お゛お゛!!!」 「うるちゃいんだぜ!まぬけなおとーさんがわるいんだぜ!」 そういって逃げようとしたまりさ。しかし何者かに上から押さえつけられてそれは失敗に終わった。 「ゆ?・・・れ、れみりゃだああああああああああ!!!!ばりざはおいじくないィ!」 命乞いをする暇もなく、半分にされたまりさ。それを美味しそうに食べるれみりゃ。 口の周りを汚しながら 「う~♪あまあまおいしいどぉ~♪おぜうさまにはえれがんとなちょうしょくがひつようだどぉ~♪」 そう言いながら次々とゆっくりを食していった。 「でびりゃはゆっぐじできないいいいいいい!!!!」 「ばりざをだづげるんだぜええええ!!!!」 「でいぶをゆっぐじざぜないおぎゃーじゃんだぢはじねええええええええ!!!!」 別のところでは学校の花壇の花を食している家族が居た 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 「ときゃいはおはなさんね!ありちゅがゆっきゅりたべちゃあげるわ!」 そこへ学生達が近づいた。 「ヒャッハー!虐待だー!」 そのあとは見てない。 今ではよく見られる光景であった。 私はとある大学へ来た。そこには世界でも有名なゆっくり研究の第一人者がいる。彼の発見とやらを取材しに来たのだ。 研究室へ入ると初老の男が出迎えてくれた。 挨拶もそこそこに、私は今回の発見を聞くことにした。大学時代の恩師の友人である彼は、未だ発表されてない発見を 私だけに教えてくれるそうだ。しばらくは記事にしないという条件だが。 「これを見て下さい。」 男が指をさした方には、二つのケースがあった。そこには二体のれいむがそれぞれ入れられていた。 「右は野生のゆっくりを捕まえたものです。左は研究所で外には一切触れずに育てたものです。左と会話してみてください。」 右のれいむはこちらに気づくと 「ゆ!れいむはおなかすいたよ!ばかなじじいはとっととごはんをもってきてね!!!」 と言ってきた。対して左はと言うと。 「ゆっくりしていってね!!!」 今では滅多に聞けない、あの挨拶をしてきた。だがそれだけである。 「しかしこれが何か?挨拶だけなら、ブリーダーの育てたゆっくりなら・・・」 「では、ちょっと中身を見てみましょうか。」 そういって教授は左のれいむの顔を少し引きちぎった。」 「ゆ!はかったねおじーさん!」などと言いながら引きちぎられたれいむ。私は餡子が漏れるとばかり思っていたが 傷口からは何も起きなかった。 「よく見てください。」 私は傷口をみた。そこには餡子はおろか何もなかった。ただ白いだけだった。 なんだこれは?全く訳がわからない。どうして餡子がないのだ。 「隣へいきましょう。」 そういって教授は左のれいむだけをケースから取り出し。隣の部屋へ向かって言った。 右のれいむは「はやくここからだせ!ださないとれいむがゆっくりできなくさせるよ!!!」と言っていた。 そこは今まで見たこともないゆっくりだらけだった。 いやれいむやまりさは見たことがある。 しかし私の知っている彼女たちではなかった。 まりさは滑るように移動しながら院生に餃子を無理やり食べさせていた。れいむはひたすら何かを運んでいた。 れみりゃは「うー!」と言いながら手から何やら不思議な弾を出し、きめえ丸はもはやなんだかわからない生き物になっていた。 「どうですか?ついでにあのまりさとれいむは銃弾でもビクともしませんよ」」 「どうですかと言われても・・・このゆっくり達は一体?」 「元は野生の赤ゆっくりでしたよみんな。育て方も普通の育て方をしたまでです。ただしちょっとした事をしましたが」 「ちょっとした事?」 「正確には思っただけですね。たとえばあのれいむ。世話をする人間は、あのれいむと接する時必ず、『これは理解不能の不思議生物だ』 と思いながら接するように命じました。」 「思う・・・ってホントに思っただけですか?」 思わず聞き返した。 「ええ。そうやって何回か試したうちに一つわかりました。・・・おそらくゆっくりは人間の望みどおりに変化するのではないかと。」 「へ・・・変化ですか?」 「例えば、『このれいむは1m上から落ちただけで死ぬ』と思いながら育てるとしましょう。世間一般で普通と言われているれいむならば 1mからでは死にません。しかしそう思いながら育てていったれいむは、本当に1m上から落とされただけで死ぬんですよ。 これなら、未だにゆっくりの生態に関する情報が乱立してる事も説明がつきます。人の『こうなってほしい』という思いに 影響を受けるのならば、一人一人違うゆっくりが生まれるのですから。口の悪くて脆弱なゆっくりも、礼儀正しいゆっくりも その人しだいということでしょう。」 教授の言ってることは最早あらゆる法則から外れていた。しかしそう言われるとそうかも知れない。 「今の世間の一般認識はゆっくり=害獣という認識が強いです。おそらくそれによって大多数のゆっくりがあのようなのになったのでしょう。 思い込みしだいでは饅頭ですらなくなると言うのに。」 ふと数年前の記憶が蘇った。あの頃の私はゆっくりが饅頭であり、生物であり、甘い物が大好きだと思っていた。 いや、思っていたからこそそうなったのか。 「ここに来た記念にこれを差し上げましょう。」 帰り際、そういって教授から箱を手渡された。中を覗いてみると、小さなれいむとまりさが眠っていた。 スヤスヤと寝息を立てている姿は可愛らしかった。 「貴方も体験してみるといい。彼女たちがどういう風になるかは、貴方しだいなのですから。」 そういって教授は研究室へ戻っていった。 私は箱を見ながら、あの野原の事を思い出した。 ふと、二人が目を覚ましたのがわかった。私はこういった。 「ゆっくりしていってね!!!」 【あとがき】 色々とアレな設定ですが。まあ適当に読んでください byバスケの人 過去作 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3 お兄さんとドスれいむ 鬼意屋敷殺人事件 どすの加工所 幻想樹の迷宮 幻想樹の迷宮Ⅱ 徹夜でゆっくりしようぜ! 徹夜でゆっくりしようぜ!2 地震 ゆーうーかい ゆーうーかい 解決編 ゆーうーかい番外編 ~ゆっくりプレイス~ ゆっくりパニック れみりゃをむーしゃむしゃー 帽子のないれみりゃ ゆっくりプレイスを求めて 水上レース このSSに感想を付ける
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「まりさぁ!ゆっくりうまれるよ!!」 「れいむ!!ゆっくりがんばってね!!」 「ゆっ、ゆっ、ゆー。ゆっ、ゆっ、ゆー」 「もうちょっとだよ!!がんばってね!!」 『ゆっ!』 「ゆー!!あかちゃん!!ゆっくりしていってね!!!」 『ゆっ!!!』 「まりさ・・れいむの・・・あかちゃんは?」 「すごくゆっくりしてるよ!!」 「よかった・・・ゆっくりしていってね!」 『ゆー!!!』 こうしてこの家族に新たな命が生まれた 産まれてきたのはれいむ種が一匹 まだ体もテニスボールほどで皮が安定してなくプルプル震えている 「あかちゃんれいむ!!まりさがおとーさんだよ!!」 『ゆっ!!』 「はじめましてのあいさつだよ!ほっぺたすりすりするよ!!」 『ゆゆっ!?』 「あかちゃんのほっぺたやわらかいよ~、ほっぺた~♪ふにふに~♪」 『ゆっ!?ゆゆっ!?』 「まりさばっかりずるいよ!!れいむもふにふにさせてね!!!」 「いいよれいむ!いっしょりすりすりしようね!!」 「ほんとだ~、すごくゆっくりしてるよ~♪すべすべ~♪」 『ゆっ!ゆっ!!ゆーん!!ゆーん!!』 「ゆっ!!あかちゃんがないちゃったよ!!」 「ごめんね!いたかったよね!?いっしょにゆっくりしようね!!」 「ほーら、どすからおしえてもらった”たかいたかい”だよ~」 『ゆっ!・・ゆっ!?・・ゆー♪ゆー♪』 「まりさ!!あかちゃんがわらってるよ!!」 「ゆゆっ!!さすがはどすじきでんの”たかいたかい”だね!!!」 こうして二人の初めての子育てが始まった 『ゆー!!ゆー!!』 「いたいの!?どこがいたいの!?」 『ゆーーん!!ゆーーん!!!』 「わがらないよぉぉぉ!!!まりざぁぁぁぁ!!どうじよぉぉぉ!!」 「ゆゆっ!?こんなときはぱちゅりーにおしえてもらった”あれ”をやるよ!!」 「「いたいの、いたいの、ゆっくりとんでけ~!!」」 目を離した隙に子供が蜂に刺された、と右往左往し 『ゆー・・・ゆー・・・』 「ゆっ!?くるしいの!?だいじょうぶ!?」 『ゆー・・・ゆ・・・』 「までぃざぁぁぁ!!あがじゃんがじんじゃうよぉぉぉ!!」 「だいじょうぶだよ!!ようせいさんにこおりをもらってきたよ!!」 突然熱を出した、と騒いではあちこち走り回ったり 「あかちゃーん!!どこー!!」 「ゆっくりでてきてねー!!」 「までぃざぁぁぁ!!どごにもいないよぉぉぉ!!」 「れいむ!!もっとおおきいこえでよぼうね!!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 『ゆっ!!ゆー!!ゆー!!!』 「「みづがっでよがっだー!!!」」 自分の子供がいなくなった、と泣きじゃくっては一晩中森の中を探した そんな子育ても問題なくこなせる様になり、子供もサッカーボールほどに成長した 『ゆ~・・・ゆ~・・・』 「まりさ、あかちゃんもおおきくなったね」 「れいむ、もうあかちゃんじゃなくて、なまえでよんであげようね」 眠ってしまった子を二人寄り添いながら見守り語り合う 初めての子育てで上手くいくか心配だったが 群れの仲間の助けもあり子供は順調に成長していた 「まりさ、そろそろれーむもしゃべるころかな?」 「れいむ、あせらなくてもきっとしゃべれるようになるよ」 「そうだよね、ゆっくりまってるよ!」 そんなある日、家族で歌を歌っているときにその時が来た 「「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆゆっ♪ゆゆ~♪」」 『ゆ~♪ゆ~♪』 「「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆ~っくり~♪していってね~♪」」 『ゆ~♪ゆゆ~♪・・っきゅり~♪』 「ゆゆっ!?まりさ、もしかしてれーむがしゃべった?」 「れいむ、たしかめてみようか?」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 『ゆっ、ゆっくち、ちていっちぇにぇ!』 「しゃべったー!!れーむがしゃべったよー!!!」 「れーむ!まりさのこと”おとーさん”ってよんでみて!!」 『ゆ~?ゆっくちちていっちぇにぇ!!』 「れーむ!れいむのことは”おかーさん”ってよぶんだよ!!」 『ゆっくち!!ゆっくち!!』 「れいむ、それはまだはやかったね」 「まりさ、でもうれじいよぉぉぉぉ!!!」 「「みんなでゆっくりしようね!!!」」 『ゆっくちちていっちぇにぇ!!!』 二人の子育てはまだまだ続く ~おわり~ この一家の幸せが長く続きますように -- 名無しさん (2012-12-24 17 37 28) 名前 コメント